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陶器のお手入れの仕方 |
やきものは土もの(陶器)と石もの(磁器)に大別されます。 土もの(陶器)は石もの(磁器)と比べ吸水性が高いので、汚れもしみ込みやすくなります。
器の材質や釉薬の特徴を理解してお手入れをすることが、器の美しさを長く保つ秘けつになります。 |
新しい器を買った時
■高台を見る
新しい器を買ってきたら、まず高台をチェックします。
大抵は産地のメーカーや作家の手で高台を滑らかにしてありますが、まれにザラつきが気になるものもあります。
高台がザラザラしたままだとテーブルや棚にキズを付けます。
ザラザラの高台は目の細かいサンドペーパーや砥石などで擦るか、2つの器のザラザラした高台どうしを擦りあわせるなどして滑らかになるまで磨きます。
■煮沸する
新しく買った器が土もの(陶器)の場合、煮沸することで焼き具合を締めます。
器の汚れをよく洗い流したら鍋に器を入れ、かぶるくらいの水を張って約30分煮沸します。
特に米の研ぎ汁で煮沸をすると土の目が埋まるので、汚れが染みにくくなり後のお手入れが楽になります。
この時、器がゴトゴトと踊るほどの強火で煮沸しないようにしましょう。
30分煮沸したら、そのまま自然に冷まします。
ただし、軟質の楽焼は例外です。 楽焼は長時間水に浸したり、煮沸したりすると柔らかくなり過ぎて傷みの原因になります。
そして充分乾燥させた後、しまいます。
生乾きのまましまうと、カビの原因になります。
一方、石もの(磁器)には吸水性がないので、土もののように煮沸する必要はありません。
柔らかいスポンジなどを使って 、器についた汚れを十分に洗い流します。
その際、色絵や金彩などは傷付きやすいので注意しましょう。 |
使う前
■水につける
土もの(陶器)の器は土の粒子と粒子の間にすき間があり、そのすき間にお茶や料理の汁気、油がしみ込んで汚れとなります。
器を使う前に10分以上、余裕があれば半日でも水につけておきます。
器に水を含ませることで、汚れやニオイがしみ込みにくくなり、洗う時に水と一緒に料理の汁気も流れ出やすくなります。
特に粉引や萩などの軟質の土ものや貫入(かんにゅう:釉の表面に現れたひび)のある器、無釉の焼締などの器は気を付けましょう。
貫入のはいった器は熱いものを急に注ぐと「ピン」と音をたてて貫入が進んでしまうことがあります。
熱いものを注いだり熱い料理を盛り付ける場合は、あらかじめぬるま湯につけておきます。
これによって、貫入が進むのを防ぐだけでなく、料理も冷めにくくなります。
■電子レンジの使用
やきものによっては電子レンジでの使用を避けた方がよいものがあるので、よく確かめましょう。上絵付が施されている器。 特に金彩や銀彩の器を電子レンジで使用すると黒く変色したり、スパークをおこします。
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使った後
■洗う
器の裏や高台の周り、四方など四角形の器の隅は汚れが残りやすいので念入りに洗いましょう。
土もの(陶器)は磁器と比べて弱いので、長時間のつけ置き洗いは避けます。
また、最後に熱いお湯を通すことで汚れもしっかり落ち、乾きも早くなります。
上絵は強くこすると絵付がはがれやすく、金彩や銀彩が施してあるものは傷つきやすいので、柔らかいスポンジなどを使って優しく洗います。
■乾かす
土ものの器は吸水性が高く、想像以上に水分を含んでいます。
洗った後、生乾きのままですぐにしまうとニオイやカビの原因になります。
最後に熱湯に通したら、自然乾燥させます。 |
修復方法
■汚れがしみ込んだ場合
土もの(陶器)の器に汚れがしみ込んだ場合、市販の漂白剤を薄めてつけてみます。
石もの(磁器)も使い続けていくうちに黒ずみ、黄ばみ、高台の周りの汚れなどか目立つようになります。
こちらも土ものと同様に市販の漂白剤を試してみることをおすすめします。
ただし、赤絵や金彩などの上絵付が施されているものは変色する可能性があるので、漂白剤の使用は避けます。
■銀彩が黒ずんだ場合
銀彩が施された器は銀器と同様に、空気に触れると酸化して黒ずんできます。
銀器を磨くための薬剤はやきものの場合、強過ぎることがあるので注意が必要です。
銀彩の手軽なお手入れとして、消しゴムや練り歯磨きでこすってみます。
簡単に黒ずみがとれ充分、元の輝きを取り戻します。
来客用などふだんあまり使わない器の場合、銀彩の酸化を防ぐため、空気に触れないよう和紙やラップに包んでしまっておきます。
■欠けたり割れた場合
高価な器、長い間使用して愛着のある器が割れた場合、金継ぎ、呼び継ぎといわれる方法で修復します。
これらは修復についてはやきもの専門店に相談してみます。
美術品にも用いられる意外と高価な修復方法です。 |
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